PAN'S LABYRINTH / ギジェルモ・デル・トロ監督、2007年


総評として一言申し上げておくと、けっこう鬱になる映画です。話がどんどん残酷なほうへ向かう感じ。非ファンタジーの領域での暴力描写が痛々しいのを除いても、話自体がヘヴィだと思う。指定はPG-12(12歳以上は保護者同伴、か?)だけど、子供は見ても絶対喜ばない。甘い夢よりは辛い現実と招いた悪夢を味わうことになるから。
ファンタジーと"現実"のウエイトは4:6くらいかなぁ。あくまでも、ファンタジー的な要素が含まれる大人のための物語だと思う。

以下箇条書きでばばっと。日記からのコピペですみません。

・シーンの切り替わりとか随所でのキィアイテムのかぶせ方が良い。
・スペイン語が心地いい。
・オフェリア:貴女があんまりにもやさしい子なのでわたしは泣きました。
・メルセデスさん:エンマ・ツンツ(byボルヘス)みたいだと思った。エンマはもっと若いだろうけど。つうかこの役者さん経歴が凄いなあ。(笑)
・大尉:名前忘れた。ヴァルツ大尉(『宮廷の道化師たち』)をもっとひどくしたような人。ヴァルツはヴァーンの奥さんを怒りの余りに殺したけど、こっちの大尉はもっと簡単に人を殺すし、何の疑いも抱かない。ただ、彼は彼なりに抱えてるものがあったんだろうというのは伝わってきて、完全に悪だと断言できない辺りが或る意味魅力的。すごくすごく憎かったけどね、この人。
・パン:呼ばれ方は"The faun". 生物と樹木と石が融合したような……!性質故の二面性が怖かった。
・ペイルマン(Pale Man)はもう……サイレントヒルのクリーチャーがヌメってないみたいなかんじで、怖いし気持ち悪いし……惚れた!超惚れた。最高惚れた。大好き。豪華な食卓に静かに就いている姿も良いし、伝承を記した木版画のような物に描かれている、子供を食らう図も素晴らしく恐ろしくて良いし、食物に手をつけるや否やどういうわけか動き始めて凶暴に追ってくる辺りも恐ろしくてひじょうにひじょうに良い。焼けた傷口にも似た手のひらの亀裂にあのゼリーのような赤と白の目玉を埋め込んでそれを頭部に翳すところなんて感動もの。そして噫歯並びは動物ではなく人間のそれじゃないかよ……!!!!もう存在として魅力的。きっと人食い怪物として語り継がれてたりするんだろうな……!
パンもペイルマンも中の人はダグ・ジョーンズ。ヘルボーイでエイブやってた人。パントマイムやってた所為かどうかは分からんけど、所作がどうにも惹きつけられるよねぇ〜。たっぷりと空気をまとってる動き。
・神話の知識や解釈を知っているがゆえに要らぬ心配をしました。

多分、人によってかなり解釈が変わる話。ハッピーエンドなのかそうでないのかまで変わる。事実はぜんぶフィルムの中で描かれているけど、真実とは個々人がそれをどう読み取るかということ。つまり、この映画を見て、そこからどのような物語を得るかということ。 ペイルマンやら風景やらセットが気に入ってキャイキャイしてた(いや、してない、静かに見てた)意外は、見終わった後大丈夫かなという位、シリアスな、というよりも、深刻な気持ちで見てました。

以下ネタバレ一言。

オフェリアの魂が最後に魔法の王国へ帰れたとしても、彼女が現実の世界で失ったものは余りにも多くて、だから最後だって涙が止まらなかった。



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