紙葉の / マーク・Z・ダニエレブスキー

ファンサイト作りましたって云えば充分かな。殿堂入り。
実はこの本のことを相当長い間人に教えたくなかった。

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百年の愚行(普及版)


人類皆共犯。
百聞は一見に如かず。
オールノンフィクションCGなし。
そんな地球にて現在は21世紀。


環境・政治・歴史・科学問題の一端を目で見たり、寄稿で読んだりするのは勿論だが、台紙として使用した新聞紙がコラージュっぽくていい。聊かあざといけど、デザイン的にもいけてるし。
ちなみにこれは廉価版で、でかいのは桁が一つ違う。

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解剖百科

フィレンツェ・ラ・スペコーラ美術館所蔵の、解剖学用蝋製人体模型。解剖学用とだけあって、骨、淋巴、血管、筋肉、内臓など各部の精密さは申し分ない。(しかも取り外しできる)

臓腑をさらけ出した、中世西洋絵画に描かれるような女性。
死体じみた表情と、絵画か彫刻のような姿形。
フリンジのあしらわれた布の上に据えられる蝋の人体。
拭い去れない血生臭さとメカニカルな構造の妙、暴かれた[ 生/死 ] の美。
様々な意味で圧巻・強烈・そして感嘆。
貴方の体もこんなのだ。さてどう反応する。

人体模型としての精密さも勿論、絵画的な美しさをも兼ね備えたこれらは既に美術品。
ラ・スペコーラ美術館には最良の状態でこれらの作品を保存して貰いたいところ。

これも廉価版だと1500位で、分厚いのは4500位だったかな。

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Mr.Beanの秘密の日記
Mr.Beanの秘密の日記。

スケジュール帳っぽいものにMr.Beanがその日の出来事やら隣人に報復する仕掛けの計画やらを書いたり書かなかったり。虫がつぶれてたり。遊び心か悪意か純真かそれとももっと別の何かか、とか書いてしまうのは、あの人がああやってドタバタやってる図が此処には存在しないから。でもどーでもいい。楽しいから。
カート・コバーン・ジャーナルとかも好きなんです、私。日記や雑記として。
Amazonで見てみたところ、らくがき帳もある模様。買うのもいいが書くのもいいよ。

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難解な絵本 / いとうせいこう (文庫版)

実物が手元に無い。パスティーシュだったかな、んー兎角色んな作家(天声人語なんかも)の文体を子供流にパロディ、という主旨。堅苦しい事は抜きにしても爆笑必至。芥川?ロートレアモン?柳田・折口・南方熊楠?マルクス?ドストエフスキー?前衛芸術?天声人語?坂口安吾?だからどーした。つべこべ云わずに読めんで感じるがいいのだ。この本一杯の愛と詩と生と死を。

「この本はもっとも詩から遠く、もっとも愛に近いのだから。」
詩に遠いかどうかは判らないけれども、愛も悲しみも喜びも苦しみも優しさも怒りも全部、限りなく高い純度でそっと織り込まれているのは確か。 矢鱈繊細に思えるのは矢張り「子供」が書いているからか。

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絵本を作る / 五味太郎


あの絵が好きかといわれるとむしろ嫌いな類に入るけどこの人の絵本は大好き。大人が見ても楽しめるものだと思う。そんな絵本がどういう風に出来ていくかを垣間見られる一冊でもあり、五味氏の人柄も十分に窺える。柔軟・奔放・ユニーク・清濁両方のピュア、それが自然体ときた。惚れ直す。

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おしゃべりしていればだいじょうぶ / 五味太郎


絵の為ではなく、文の為でもなく。おしゃべりする為に。
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ぼっけえ、きょうてえ / 岩井志麻子


表題作のみ立ち読み。なんでって面白くて次にいく気がしなかったから!いやよかった本当に。京極夏彦の解説もタイトルを鋭く読んでいて流石。
映画化もされたが(アメリカでは公開出来なかったらしい)そっちも期待して良さそうだ。かなりエグいものになるだろうから、映像のショッキングさに気をとられる可能性が高い気もしないではないが。
他の要素が鮮烈で引っ込みがちになりそうな心理描写もかなり良かった。 コンパクトで濃い。唸る。そしてもう一度読みたくなる。ぼっけえ、きょうてえ。
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類推の山 / ルネ・ドーマル


この文字もやがて山に至る道。

冒頭に来てる主人公の持論の所為か、はたまたドーマルの手腕か、書いてあることを逐一メタフィジックに読んでしまう。それがいい。物語としても面白いけど、そっちの観点からも大いに楽しめて、時折足を止めて言葉を噛み締めるのもまた楽しい。きらきら光る石に足を止め、拾い上げ、眺め、鞄の中に入れて山に登るように、自分の所に届くくだりを味わいつつ読むべし。

惜しいような惜しくないような所で著者逝去。「未完の大作」という云い回しは好みではないし、「あとは個々人によって」も陳腐な言葉だが、解説を読むとそう云うのが適切に思えてくる。されど冥福を祈るばかり。

『紙葉の』サイトの方で、「能動的形而上探検ノススメ」なんて大袈裟に銘打ったレヴューも書きました。

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サンドマン / ニール・ゲイマン
幻想文学作ニール・ゲイマンによる、大人の為の暗くて知的で幻想的な物語。主人公は人間を遥かに超越した存在<終わり無き者>(エンドレス)の一人、「夢」であるサンドマン。或る事件をきっかけに、彼と人とそして人以外のモノ達の生が交わり始めます。まだ1巻しか持ってないのですが、続きが凄く欲しい。「夢」の姉が「死」とか、流石きちんとしてますね。(彼女を主人公にした漫画も描かれています。)
日本人には馴染みが薄いですが、西洋では「砂男」という眠りを司る者のお話は天狗とかと同じくらいポピュラーなものです。ついでに書いておくと、ホフマンの『砂男』はかなり怖くてイイ感じ。
邦訳されているものはかなり少ないと思われますが、ゲイマンは沢山の幻想文学を物しています。この「サンドマン」の中の或るエピソードは、世界幻想文学大賞を受賞。文学だの漫画だのいう媒体すら越えさせたと考えて差し支えないでしょう。目を開けば、夢がはじまる。

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テーオバルトの騎士道入門 / 斉藤洋
世間的にはこの人は『ルドルフとイッパイアッテナ』の人として認識されているそうな。NHKのアニメを見かけたことがあるくらいで知りませんが。
タイトルの通り騎士道ものの子供向けパロディです。或る老男爵は息子を戦争で亡くして以来めっきり弱りこんでしまい、さっさと孫に跡を継いでもらいたいのですが、その孫テーオバルトは『騎士道入門』なる本を愛読し、「竜のなみだを手に入れて一人前の騎士とならない限り、跡を継ぐなどもってのほか」と言い張る頑固で古風な15歳。
何だっていいからとりあえず跡を継いでくれということで、ハリボテの竜と水晶の玉によるでっちあげ竜退治がテーオバルトにはナイショで準備されます。未来の男爵テーオバルトはお気に入りの来ハンスをお供に「竜なんて居るわけないだろ常識的に考えて……」の世界で竜退治の旅へ出発進行。
大体の年齢に達した人なら、多分オチが読めるでしょう。しかし、これがどういうわけかすごく面白くて、小学校の頃から何度も読み返しています。20を越えた今手に入れて読んだら、やっぱり面白かった。

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スコープ少年の不思議な旅 / 桑原弘明×巌谷國士
掌に納まるサイズの、重い金属製の箱。飛び出た筒を除けばその中には世界が広がる。箱についた小窓をずらせば、時が移ろい、空間が変わり、これがつまり不思議な旅。
極小サイズの目くるめくオブジェもさることながら、アリス、タルコフスキー、ピラネージの世界をヒョイヒョイ闊歩していくような巌谷氏(私的シュルレアリスムのせんせい)の文も味わい深い。見てよし読んでよし、でもやっぱ、覗きたい。

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ロリータ / ウラジミール・ナボコフ、大久保 康雄
世間一般で考えられているよりずっとずっと傑作。但し訳者をお間違えなきよう。
小さな悪女、低俗で狡猾で強情で妖艶なニンフェット、その名はロリータ。 そして我らが"enchanted hunter"ハンバート・ハンバート。詩的で知的で情熱的で何よりも絶望的な恋と愛が延々綿々、ナボコフの素晴らしい筆で繊細に描き出されていく。進むに従って読者のハンバートに対する思い入れも加速し、読了後にはハンバートの障害最大の恋愛を丸ごと体感した感動と疲労がどっと押し寄せる。破滅必至なのに、愛に身を窶しても報われっこないのに、向かう先は断崖だと分かっているのに、それでも狩人はニンフェットを追う。
不道徳だとかエロだとか云ってる人は文学的なセンスが皆無なんです。狂おしく燃え上がり燃え上がり燃え尽きていくこの炎!

『ヴィーがポォの、ベアトリーチェがダンテの恋人であったように、おまえは私の恋人なのだ』

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